好きになっても、いいですか?
「早乙女さん……!」
麗華の肩をそっと抱きながら、麻子の横に来たのは敦志だった。
敦志は麗華の口と手を解放すると、「大丈夫ですか」と声を掛けた。
その間に、純一も麻子の手を縛りあげている紐を解いていた。
「間一髪……でしたね」
敦志がやれやれという様子でそういうと、純一は未だに気を失っている男を冷たく見下ろして言った。
「……地獄に落としてやる」
「しゃ、社長……早乙女さん……二人とも怪我は」
「ない」
「ありません」
いくら一対一とは言え、相手も男。
そう思って麻子は怪我の心配をするが、見たとおりどこも変わったことはない二人を交互に見やった。
「私達は、昔から色々と身につけてきましたので」
敦志がにこりとして、一言そう添えた。