好きになっても、いいですか?

03



「敦志、車を用意しておいてくれ」
「既に手配済みですよ」
「……」


昼頃になってそんな会話が出ると、敦志は声を潜めて純一に言った。


「――昨夜の件について……どうするつもりで?」


“昨夜の件”。

それは未遂に終わったが、麻子や麗華を襲おうとした男達と、それを依頼したと思われる美月についてだった。


純一は、背もたれに預けていた体を前に起こしてデスクに頬杖をつく。

そして気付かれないように視線を雪乃に向けて、敦志に答えた。


「――とりあえずアイツ掴まえるのが先決だ。あんな女は逃げてもすぐに探し出せる。まぁ、追う価値もないが」


純一の指が苛立ち気味に音を立てて机を叩いていると、さらに敦志が言いづらそうに口を開いた。


「――あの、少し秘書室へ来て頂けますか」



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