好きになっても、いいですか?
「なんだ?手短にしないと彼女が変に思う」
「……もう彼女も何かあったことは知っているから、多少は目を瞑ってくれるでしょう?」
それは敦志なりのささやかな嫌味。
麻子をそれだけ思いつつも、“婚約者”である雪乃への体裁を気にする純一に対して、敦志は正直面白くはなかった。
そんな敦志の発言に純一は何も言わずにいると、敦志が本題へと移った。
「……これを」
そういいながら純一に向けた一台のパソコン。
それは麻子に与えらていた個人のパソコン。
「……?」
「……黙っていても、恐らく純一くんのことだからすぐにばれてしまうと思ったので……」
純一がパソコンに近づいて画面を確認すると、見る見るうちに顔が赤くなって瞳に怒りが現れた。
「どういうことだ?!」
純一は、マウスを壊れんばかりに握りしめて震わせながら、敦志に問いただした。