好きになっても、いいですか?

04



少し前に病院を一度後にしていた麻子は、いつかお弁当を広げていたベンチで、ぼんやりとゆっくり流れる雲を眺めていた。


(……お父さん、本当によかった)


“この空の下で、またお父さんと生きていける”。

そんな実感がじわじわと湧いてきて、麻子はその喜びを一人でかみしめていた。


どんなことがあっても、負けたくない。
諦めないで、生きて行きたい。

でも、現実にはそんな心だけじゃ、どうにもならないことがあると痛感した。

大切な人の命は、どう心意気だけで頑張ってもその運命には抗えない、と。

救うためには、お金と人脈が必要なのだ、と。


そして、それを援助してくれた人がいた。

初め、氷のように冷たい人かと思っていた、一人の男が手を差し出してくれた。


全てに感謝を――――。

そして、多くを望むことはしないように。



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