好きになっても、いいですか?

「コレ、味見して欲しかったんです。麻子ちゃんに」


そうして麻子に突然突き出したのは、小さなバッグ。
そのバッグを目の前に出され、麻子はそれが何だか大体理解して答えた。


「……コレって……。それなら本人に――」
「あ。純一さんの分もちゃんとありますから。お二人に意見を聞きたくて」


そう言って、ガサゴソとお弁当箱を取り出したバッグには、もう一つ同じような入れ物が入っていた。


「麻子ちゃんに一番に食べてもらえたら、批評してもらえて安心だな、って」


にっこり笑ってそういうと、雪乃は麻子の隣に腰を下ろした。

差し出されたその手造りの弁当を、麻子は断ることもできずにそっと受け取った。
そしてキラキラとした目で見つめる雪乃に圧されて、麻子はゆっくりと蓋を開ける。


そこには卵焼きに胡麻和えなど、至ってシンプルなおかずが詰まっていた。



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