好きになっても、いいですか?
「最後に、宇野麗華」
麗華の名を聞いたときに、麻子が口にしたのは誰もが思いもしないことだった。
「あ、宇野さん!彼女は大丈夫でしたか?怪我は?精神的に参ったりしてませんか?」
それは上辺でもなんでもなく、本心からのものだ、と純一と敦志は理解すると溜め息を漏らす。
「お前……あんな汚いやり方されていたのに、よくそういう心配ができるもんだな」
「え?あ……」
思えば麗華にも執拗な嫌がらせを受けていた。
しまいには退職しろと脅されるまで。
でも、麻子はその麗華の想いは、ただひとえに純一への想いがそうさせたと知っていた。
だからかもしれないが、美月に対するような冷ややかな気持ちにはなりきれないでいた。
「――彼女は大丈夫でしたよ。今朝早くに、ちゃんと挨拶に見えましたから」
敦志が麻子の心配にそう答えた。