好きになっても、いいですか?


「お父さんっ」
「なんだなんだ、来るなり」


いつもよりも少し乱暴に引き戸を開けると、一目散に父のベッドへと駆け寄った。
丁度食事の時間だったようで、克己の前には夕食が並べられている。


「あ、ごめん。ご飯中だったね」
「今日は仕事、早く終わったのか?」
「そう!それ!そのことよ!!」


麻子はまた思い出したように、凄い剣幕で克己を見る。
克己はそんな麻子の行動は既に予想済みのようで、全く動じずに、むしろ笑う位だ。


「これ!この手紙!一体どういう風の吹きまわし?」


麻子は鞄から、純一から手渡された父からの手紙を引っ張り出して克己に見せつけた。
克己はそれをわざとらしく、テーブルの上のメガネをゆっくりと掛けて、目を細くしながら見る。


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