好きになっても、いいですか?


知らなかった。

そんなに早乙女さんが必死になって、お父さんに頭を下げていたなんて。

そしてそれが、あの人の為だったなんて――。



「芹沢さん?」
「うあっ、は、はい!」
「そんな反応するなんて珍しいですね。何かわからないことでもありました?」


昨日の話を聞いてから、敦志を見ると色々と考えてしまう。
2人の時間はどのように過ごしてきたのだろう。何か、2人にしか共有し得ないものを確かに感じてはいたから。

敦志の純一への無償の優しさと、純一の人間性……。


(お父さんは“不器用”だなんて言っていたけどどうだか)


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