囚われの姫
思わず後ずさるティアラをセロクは鋭く睨む。
「こんなことなら、ターニャの言う通り、すぐにでも処刑しておけばよかった…。
お前の汚れた瞳と髪が、この国に負を招いたのだ!!」
「…お兄様……」
「口を開けるな!
汚らわしい!
俺はお前の兄ではない!
俺は人の子、お前は化け物の子だ!」
見兼ねたリューンが口を開いた。
「黙れ、セロク。」
だが、興奮したセロクに、静かな戒めの言葉は何の意味も成さなくて。