家政婦のメイド派遣します!
主に蒼のフランスの話を聞きながらそれでもお互い色々な話をして食事は大和やかに進んでいった。

最後には昨日正志が作って冷蔵庫に入れて置いてくれてあった試作品のケーキまで食べてしまい、桃子達はすっかり満足して食後に入れたコーヒーを飲んでいた。

「あ、桃子悪いんだけどタバコ買って来てくれない?」

蒼はコーヒーを飲み終えた桃子にお使いを頼むのは珍しい事だった。

いつもなら出かけようとする桃子に対して夜遅くに女性1人で買い物に行くなんて危ないだろ、止める方なのだ。

「あれ…さっき此処になかったっけ…?」

桃子は先程までテーブルに置かれていたキャメルの煙草が見当たらない事を不思議に思って首をかしげる。

「とにかく1箱買ってきてくれないか?」

蒼の言葉に桃子以外の2人は何かを察してソワソワし始めていた。

「な、何なら俺が行こうか?蒼兄。」

直樹が立ちあがろうとするが蒼に笑顔で睨まれて座り直す。

「桃子、1番遠いコンビニまでいって煙草を1箱買ってきて。」

蒼が桃子に念を押すように頼む。

そこまで言われれば流石に桃子にも分かってしまった。

どうやら男同士の話らしい。

「じゃあ、行ってくるね。」

桃子は立ち上がって外に行く準備をする。

祐樹と直樹の縋るような視線を背後に感じながらも彼女は必要のない買い物へと出かけるのだった。
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