家政婦のメイド派遣します!
普通なら、担当者がもう一度行くと言えばなんの問題もなく済む事なのだが、桃子の場合は祐樹と直樹が絡んでいるのは周知の事であったので担当者が気を利かせたのだ。

桃子脳裏に祐樹と直樹が交互に現れる。

彼らに許可を取るのは何となく気が引けた。

「いいよ、お客様は留守なんでしょ? それなら問題ないよ。」

「ありがとうございます。」

上杉のほっとした口調に、彼女なりに心配してくれていたのが分かった。

「で、いつの話なの?」

桃子はスケジュールの確認の為に手帳を開く。

「急なんですが、今日の午後です。」

「急だね…。」

桃子は苦笑して手帳を閉じた。

「いいよ、空いてるからそのまま行くね。執事係りは誰かいる?」

「重ねてすいません…急なのでいないです。」

人不足がここまで及んでいた。
普段なら執事が不在で行く場合はもう1人メイドがつく決まりになっているが今回の様な不在宅への訪問の場合は1人で行っても良い決まりになっている。

少々不安もあったが、先日の家ならセキュリティもしっかりしていた記憶がある。

「うん、留守宅に行くなら1人で十分だから大丈夫。」

桃子は上杉に客宛てに折り返しの電話を頼むと自分は午後の外出の為に急いでデスクワークをこなしていくのだった。
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