テレビの中の、人。

2


太ももが、当たった。


「サックン、東京とかにも、ファンの子いるんでしょ?」

「うちらみたいに、出待ちとか、してる子いる?」


「あぁ、何人かね。でも、まだまだ俺ら、名前も売れてないし。」

「これからだよ。」


「なんでお笑い、目指したの?」

「最初はタイチに誘われて・・・、養成所でリョウとあって、んでユニット組んだ。」


「だけど、根本、好きなんだと思う。」

「ネタとか考えるの好きだし、人に笑ってもらうの好きだから。」


クスッ。


「確かに、舞台上では、別人だよね。」

「変な格好とか、平気でするし、ギャグとか言うし」


あたしは、笑った。


こんな話しを聞けるのも、

「特別」に、感じた。



だけど・・・、

女には、興味がない感じに見えた。

少なくとも、タイチよりは。


「なんだか、不思議・・・。」

「?何が?・・・」



「だって、テレビに出てる人だよ。」

「そんな人と、普通に喋ってる。」



「別に・・・、普通だよ。同じ人間。」

「ただ・・・・・。」




「ただ?・・・・何?・・・・」






「立場上、誰とでも、こんなことできない。」

「こんな風に喋ったり、一緒に飲んだり。」

「一応、世間の目があるし・・・。」



「こんな風にできるのは、りえちゃんだけかな?」






!!!!!ー

あたしはその言葉に、

クラッと来た!



嬉しくて、嬉しくてー。




「え~・・・。」

その表情から、サックンも、ちょっと照れる。


「あぁ、なんていうか、・・・話し安いんだよね、りえちゃんて。」




「・・・それだけで、嬉しい!」




「あ~れ~?、お二人さん、いいムード。」

ミズキが、指名客のテーブルから、帰って来た。

「タイちゃん、寝てんじゃん!」



「そうだよ。」





ちょうど、3時の閉店時間が来た。






「サックン、もうお店終わり、どうする?」

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