探偵事務所は休業中

彼は早口で捲し立てるように言う。

「とにかく今すぐ来てくれ!現場は警察署のある駅前の歓楽街の路地裏!有線だとなんとも言えないからすぐ俺の携帯にかけなおしてくれ!」

あ、だったら携帯電話で掛けりゃよかった。
だが、そんなことを思っても後の祭り。
相手の応答を待つが、これだけ言っても、何の反応もない。
何かあったと言うのか。

それでも、これだけ言い残せば彼は絶対に来てくれるだろう。

「今回はお前が一番乗りだからな!早く来ればいっぱい捜査できるぜ!じゃあな!」

最後だけ得意な明るさをかまして、電話を切る。
彼は手帳をポケットに突っ込み、慌てて部屋を出た。

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