間接的視線【密フェチSS】





直接よりも間接的な視線が好きなんて、絶対引かれると思った。


なのに。


「なんだ……良かった。嫌いじゃないんだ……。俺、ずっと悩んでて。年下だから、からかわれてるのかな、とか」


「亮……」


「あ~ホッとしたっ!」


ソファーに寄りかかり、天井に息を吐く。


そんなに、悩んでたんだ……。



「ごめん……でも、引かないの?」



何を?という亮は、いい淀む私に察したのか、


「フェチでしょ?俺もあるし。そういうの」


「え……?」


「香り。利くんですよ、鼻。初対面で『モカ』って当てたの覚えてない?」



あぁ。そういえば……。



「さっきの香水も、あの手の匂いが苦手で。だから、お互い様」



ね?と、亮はわざとガラステーブルで視線を反射させた。



「んっ……いきなりズル、い……」



疼き、身をよじる。



仄かに上気する私を、亮は浴室へさらった。



「続きは香水落として、寝室の鏡の前で密に……」



洗面台の鏡越しに視線を絡め、後ろから包んでくる。





「嗅がせてよ、美樹さんを」





熱い息が頬を掠めた瞬間、私は堕ちた。



Fin


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