ブルーブラック2
「だから、だよ··」
智がようやく江川に向き合って目を合わせてそう言った。
真っ直ぐにぶれない目は、ふざけてるようにも軽く考えているようにも見えなくて、江川は黙った。
「···ああいう面倒なタイプは俺じゃなくて“彼女”の方に突っかかっていくだろ」
その言葉に江川は拍子抜けして肩に置いていた手を降ろした。
目を丸くしてぽかんと智を見ている。
「なに」
「――お前、案外わかってないんだな」
「は?」
「それをちゃんと言ったのか?百合香ちゃんに」
そう言われて智も漆黒の瞳を揺らがせた。
自分がどうにか対処すれば、百合香を傷つけずに済む。
美咲が何かを百合香にしでかす前に余計なことを伏せておけば美咲はすぐにまたどこかへ配属が決まっていなくなるだろう。
そう思ってのことだった。
だが―――