ブルーブラック2

「お前が思ってるよりも女っていうのは勘がいいし、色々見えてたりするんだよ」


とどめの一撃だった。

確かにやましいことなんかしていないし、そんなことをしたいともされたいとも思わない。

生涯百合香だけ、だ。


でももしも、鈍い百合香とは言え美咲の大胆な行動に気が付いていたら?

自分ばかりが隼人との関係に目を光らせて、釘をさして。


本当に彼女がそれで守られるって保証はあるのだろうか。


「こんなこといいたくないけど、一つの疑念が何十倍、何百倍にもなって正しいことが見えなくなる。多分百合香ちゃんだったら、余計に悪い方に考えてしまうんじゃないのか?」
「――――っ」
「過去に、まどかとの関係を知らなかったときだってそうだろ」


そう――
昔、百合香がまだまどかと出逢っていない時の話だ。

既にまどかは江川と結婚していたが、それを知らない百合香は智と深い関係の女性だと勘違いして涙を流したことがある。


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