ブルーブラック2

2.秘密と密会



「お待たせしました」


そう言って事務所の中の一室に入ったのは智。


「いえ。せっかくこうして東京にきてるんですから、こんな風に必要とされるのは本望ですよ」


パイプ椅子に腰を掛けてテーブルに何やら広げて答えたのは金山だった。

智は向かい合うように椅子を移動して座ると目の前に並んだインクやスポイトなどに視線を向けた。


「小さい頃の“図工”を思い出します」
「ああ、同じようなもんだよ!柳瀬くんならなんでもすぐできちまうから私なんかイベントの時に必要ないかもな」
「そんなことあるわけないじゃないですか」


和やかに談笑しながら金山は道具を一通り出し終えた。


「―――で?今回はどんな?」

「イメージは大体···後は教わって自分でやりながらって感じですかね」


2人がそうして手をインクに染めながら作業をして時間は過ぎていった。


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