ブルーブラック2

「――――」


何かを伝えたいのに声が出ない。

頭の中でまとまっていないから···いや、未だ気持ちがまとまっていないからかもしれない。

しかしその場から立ち去ることも出来ない百合香に智から話を振った。


「今日からイベントだから。忙しいと思うけど頑張って」


それは“店長”としての言葉だ。

百合香はそんな言葉がいつもなら遠く感じて淋しくさえ思ってしまうのに、今はそれが少し助かったとさえ思ってしまう。


「あ、はい。準備もありますから売場に行きますね」
「多分帰りも遅くなると思うからちゃんと残業つけて」
「はい。わかりました」


そんな会話だけで百合香は事務所を後にした。

廊下に出てからも溜め息をひとつ。


「百合お姉さん?」


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