ブルーブラック2

エレベーターの到着する音に智も綾もそちらに視線を向けた。


「あ、お疲れ様です」


姿を見せたのは隼人。
隼人は目の前の綾に挨拶をし、その後すぐに奥に立っているのが智だとわかると明らかに態度を変えて、表向きだけ挨拶をした。


「···お疲れ様です」
「ああ。お疲れ」

「じゃあ、私は戻ります」

綾が隼人の登場に気遣って再びその場から去ろうとした。

そして隼人は智を横切り事務所の扉に手を掛けた時に智の背中に突き刺さるような鋭い視線を送ってから事務所へと入って行った。


「――――···!」
「どうかしたか」


その視線に気が付いたのは綾だけだった。


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