ブルーブラック2
「――――と、いうわけなんで無理そうかどうかは柳瀬くんが一番見ていてわかると思いますしお願いしますね!」
綾はそう言うとエレベーターへと歩き出した。
(···ということは産婦人科はできたからじゃないってことか)
智が一つの疑念を脳内で解消していると、去った筈の綾がずんずんとまた自分に近づいてくるのに気が付いた。
「柳瀬くん、生田美咲の―――」
“生田美咲”
その名が出るだけで嫌な感じがする。
智はざわざわする心境の中綾の言葉をただ黙って聞く。
「胸ポケット。そっちも気にして欲しいです」
「胸ポケット···?」
ガコン··