ブルーブラック2
「····お疲れ様です」
「ああ!お疲れ様!明日はゆっくりね」
「···お疲れ様」
その場を通り過ぎていったのは美咲。
江川は明日美咲が休みなことを知っていて、『ゆっくりね』と声を掛けたのだった。
そして智は元々淡泊ではあったが、以前にも増して素っ気なく最低限の挨拶を返しただけだった。
美咲の姿が完全にドアで見えなくなり、足音が遠のいたのを確認してから江川が口を開く。
「―――オレがいなかったら彼女お前にまたなんか仕掛けてきたかな···」
「さぁな」
エレベーター前で立っている話題の美咲は、一人ぼやく。
「ちっ···ジャマがいた」