ブルーブラック2

「····お疲れ様です」


「ああ!お疲れ様!明日はゆっくりね」
「···お疲れ様」



その場を通り過ぎていったのは美咲。

江川は明日美咲が休みなことを知っていて、『ゆっくりね』と声を掛けたのだった。
そして智は元々淡泊ではあったが、以前にも増して素っ気なく最低限の挨拶を返しただけだった。


美咲の姿が完全にドアで見えなくなり、足音が遠のいたのを確認してから江川が口を開く。


「―――オレがいなかったら彼女お前にまたなんか仕掛けてきたかな···」

「さぁな」




エレベーター前で立っている話題の美咲は、一人ぼやく。


「ちっ···ジャマがいた」

< 194 / 388 >

この作品をシェア

pagetop