ブルーブラック2

4.夫婦喧嘩


「ただいま」
「た、ただいま···」


部屋に着くまでずっと百合香は智の言っていたことに動揺していた。

“ケンカをする”

それってどういうことを差しているのだろうか。


自分の家の筈なのに、百合香はなんだか客人のように遠慮がちにリビングへと歩き進める。

智が振り返りそんな百合香に気が付くと、いつものように呆れながら笑って言った。


「また、どうしてそんな感じになってるの」
「え?いや···どうして、でしょう··」
「···おいで」


鞄を抱えて小さくなっている百合香に、智はソファに腰を掛けて隣に手を置き百合香を呼んだ。

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