ブルーブラック2

「神野さーん」


少し遠くから自分を呼ぶ声が聞こえてハッと我に返る。
その声に反応したのは百合香だけでなく隼人もだ。


「あ、神野さん···って斉藤!ここにいたのか!」
「ちょっとだけ、くーちゃんを見に···」
「そんな言い訳通じるかー!全く!店内の品出し!今すぐ!」
「はい··すみませーん」


坂谷が鼻息を荒くして隼人に指示を出すと、隼人はまた売場へと足早に向かって行ってしまった。


「あ、神野さんは休憩の時間だよ」
「あ、はい。すみません··ふふっ」
「???」


坂谷が隼人の世話をしているのを見ると、どこかほほえましいというか、愛のある叱咤というか。
本気で嫌ってなんかない。それは坂谷にも隼人にも感じられることで、百合香はそんな2人のやりとりを思い出しては笑いを堪えるのだった。

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