ブルーブラック2
「なんだよ、百合お姉さんの話って」


未だ腕を掴んで離さない美咲に隼人はぶっきらぼうに聞いた。
美咲は店から離れたところでやっとその腕を解放した。


「あんたのその“お姉さん”についてちょっと教えてよ」
「はぁ?なんで教えなきゃなんないんだよ、やだね」
「彼女を守ってあげたいと思わない?」
「···どういうことだよ」


思わせぶりな発言を繰り返す美咲に隼人はまんまと引きずられる。
美咲はグロスが光る唇を弓なりに上げてにっこりと笑うと、その笑顔からは想像できない冷たい声で隼人に言った。


「神野さん、狙われてるかも」


耳打ちして美咲がそう教えると、案の定隼人は食いついてくる。


「狙われてる···って誰に」
「まぁ、まだ確実じゃないから。職場の誰かとしか言えないわ」
「いや、でも」
「でも、なに?」

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