裁き屋始末録
裏の入口、表の嘆き道

恋と罠と裏口と

 
第2閃!


「…この成績じゃ、君の志望校は厳しいな。
1ランク落とすか…」

瀬尾の言葉に女子高生は、

「瀬尾先生!
私、絶対この大学に入りたいんです!」

「大学は他にもある。
それに…
頑張り過ぎは良くないぞ。
食事と睡眠、あまり採って無いだろ?
入試で倒れたら本末転倒だぞ」

女子高生[有馬そよ子]は、瀬尾の塾講師らしくない親身な言葉に黙り込んだ。

「有馬、大学で人生が決まるのか?」

「え…?」

「人生を決めるのは大学じゃ無い。
出会いが人生を変えてくれるんだ」


その日から有馬は、塾を休みがちになった。

瀬尾は心配になり、有馬の自宅に連絡した。

「塾講師の瀬尾ですが…」


母親は、塾に行っているものと思っていたらしい。

となると、有馬はどこへ行っているのか…

「あ、先生。
そよ子は学校へは通っていますし、家にも帰って来ていますから…
いかがわしいことに関わっているとは思えないのですが…」

有馬の母親の言葉を聞き、瀬尾はピンと来た。

裁き屋の直感力だ。


「お母さん、ちょっと頼みたいことがあるのですが…」

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