裁き屋始末録
 
「そう、気付いていたの。
でも、もう何もできないわよ」

「そうだな、観念するか」


秋野は千早に向き直った。

「悪い、お前に殺される前に2つだけ言わせてくれ」

「何?」

「一つ…
何故、自分の元締を殺した?
仕事を請け負えなくなれば、お前にとっても損だろうに」

「フフ、あの男は間仕切り屋を解散させようとしたの。
私は裏世界でしか生きる術を知らないから、解散は死ぬコトとと同じ。

なら私が新しい組織を作る!
だから元締が邪魔だったの。
それだけよ、理由は。

で…2つ目は?」

「あぁ、それは…」


秋野は千早に真顔で歩み寄る。

「な、何よアッキー…
そんなマジ顔で…」

たじろぐ千早の側まで来ると、耳元で囁いた。


「外道、断末…」


ズビュ!


正面から飛んで来たチタン弾が、千早の眉間を撃ち貫いた…!


「な、なぜ…?」

髪をフワサと揺らしながら、千早は地に膝を着く。

「お前が俺の行動を予測できるように、俺もできるんだよ…
お前の行動予測がな。

さっきの人形に向けて、俺は弾を2発同時に発射した。
お前は銃を取り出すために、的から目を逸らす。

お前の気付かなかった2発目は跳弾となり、反射を繰り返してお前の正面から飛んできた…

と、そういうコトだ」

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