裁き屋始末録
やがて2人は、とあるオフィスビルの屋上に来た。
「アッキー、準備は良い?
的は向かいのビルの25階…」
今居るビルの屋上は、向かいのビルの21階の高さ。
「少しだけ見えるでしょ?
窓際で背中を向けて座っている男よ」
確かに千早の言う通り、僅かに窓から男の背が見える。
電灯が着いていないので見辛いが、距離的なことを考慮すると的を狙撃するには現在の位置がベストだ。
「じゃあ、やるぞ…」
ビギギギギ…
秋野のスリングが軋む。
弾はチタン製。
窓ガラスなど、簡単に撃ち抜くことができる。
パチイィィィッ!
25階の窓を貫き、ターゲットが椅子から倒れ落ちるのが見えた。
「………ご苦労様」
チャ
秋野の背に銃を向ける千早。
「…何のマネだ?」
振り返らずに尋ねる秋野。
「今、アッキーが撃ったのは、私が用意した人形。
貴方は間仕切り屋の元締を殺して、私に始末された。
フフフ、シナリオ通りだわ。」
「やはりな…
元締の死が公になれば、すぐに俺達にも情報が入る。
情報が入らないのは死んでいなかったか、情報操作されているか…
つまり、殺しが隠蔽されてる…
殺した奴によってな」