黒の寵愛
廊下には人が誰もいなかった

『…誰もいない』

「今は授業中なんだろう」

授業?
何だろう

「沙夜お前は何も考えなくていい」

基本的に無表情の沙夜が何に悩んでいるのか分かる冬夜は沙夜の頭を優しく撫でながら言った

長い廊下を歩いていたら職員室と言う文字が見えて来た

冬夜は沙夜と手を繋ぎながらノックをしないで職員室のドアを開けた

中にいた先生達は、いきなり入って来た黒髪に赤目で長身の男子とその隣の小柄なオッドアイの人形みたいに可愛い女の子に驚いていた


「な、なんだね!君達はノックも無しに!?」

「うるせぇ
それより今日来る転入生の担任は誰だ」

冬夜の低くて感情の籠もらない声に先生達の顔は若干青ざめた

「は、はい!」

その中で手を挙げた
眼鏡を掛けたポニーテールの女
「お前か俺達の担任」

「えっ!
あなた達が転入生」

「そうだ」

先生は、高校生らしくない2人に戸惑った

「そ、そうだったのね
あたしの名前は《志乃 由佳里》よろしくね
あなた達の名前は?」
< 32 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop