曇り声



嫌だと
私が言った。
ごめんと
君が言った。


私も行きたいと
泣いて引き止めた。


わかってくれと
その声で慰められた。


離れても大丈夫だと
言ってよと困らせた。


その場しのぎの言葉は
ただの嘘つきだと君が言った。


愛してるよ
私が言った。
愛していたよ
君が言った。







巡り合えたのは
偶然だという名の運命で

別れることは
必然という名の運命なのか。



君の鼻にかかった
その曇り声が切なくて
君の鼻にかかった
その曇り声が聞きたいよ。









終わってしまった今でも
似た声の男性を聞くと
いまだに胸が恋焦がれるのは




まだ好きなんだと再確認した。


曇り声の君に。






曇り声だね
私が言った。
曇り声かな
君が言った。




 
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