囚われ姫~今宵降りゆく星屑は~
あたしの言葉にどんどんと顔色を悪くする神埼さんを見て、あたしは逃げるようにその場を去った。
大切な物を落としたことにも気がつかずに。




家に着いた頃、あたしは“大切な落し物”に気付いた。
失くしたそれはあたしが“偽りの刹那”を演じるための、お守り。




「どうしよ。あれが無かったらあたし、自分偽れない…!」




慌てた挙句あたしがそれを探しに出ることは無かった。
あたしがそれを探すことをしなかったのは、なんとなく神崎さんに会えなくなる気がしたから。


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