オークションの悪戯-イタズラ-
「何でもないですよ、

ティッシュボックス取りにきたんです」

「目、赤いですよ?」

私の目を触る。

「目にゴミが…」

「泣いてたんですね?」

「泣いてなんか…っ」

「正直に言ったら?」

「正直です」

「取り敢えず俺の部屋が

向こうの突き当たりにあるから

そこで待ってて?」

「…はい」

「暁人様は?」

「私の部屋です」

「…そうですか」

一瞬神田さんの顔が曇る。

「では部屋で待っていてください」

「わかりました」

私はとぼとぼと歩き出す。
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