イエナイオモイ
数分が経ち、我に返ったあたしに勇哉は言った。
「送り先間違えてるよ」
その手の中にあるのは真紀子に送ったはずのメール画面。
通りで返事がない筈だ……なんて感心している場合じゃない。
赤面しまくりなあたしに勇哉はくすっと笑って言う。
「大事にし過ぎてフラれる所だった」
「どういう意……」
その先は言葉にならなかった。
再び、勇哉のキスの嵐が降ってきたから。
そんな長くて甘い時間のあとで、
「優しい男が好みだって勝手に思ってたからさ」
そう言った勇哉の唇に、あたしはまだ少し照れながらも初めて自分から手を伸ばした。
【end】
