赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
でもその椅子には座らず、立ったままテーブルにそっと片手を置いた。

滑らかな手触りのテーブルを撫でる様に動かしながら、キサラはメルリナから聞いた話を思い出していた。


昔話の様なマクスウェル伯爵家の話。

これから自分はどうすればいいのか。


思い出しながら考えていると、両親の死のことも頭に浮かぶ。


あれは、事故だった。

畑仕事をしていた両親に暴れ牛が突っ込んだのだ。

村の牛たちが暴れることは滅多に無いが、全く無い訳でもない。
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