君の声がききたい
タバコを口にくわえながら、沙和に手話で話しかける姉ちゃん。



――『うん、元気!お姉ちゃんも元気そうだね』

――『まあね。仕事キツいけど、元気にやってるよー』

――『そっか』


俺はアイスコーヒーを飲みながら、二人の会話を聞いていた。





――『てゆうか、奏くんが彼氏!?』




沙和に、俺のことを指差して言う紗江子さん。




――『そうだよ(汗)じゃなかったら誰なのよ…』

――『へえ…“同棲したい人がいる”なんて言うから、どんなブ男が来るのかと思ったら・・・こんなイケメン君連れて来るなんて…あんたなかなかやるじゃん』


沙和にガッツポーズをする紗江子さん。

サバサバした性格だな(汗)




――『うん‥そうなの。奏はモテるんだよ』

――『だろうね。そんな顔してる〜』


どんな顔だ。




「急に“同棲したい”なんて言ってすみませんでした。忙しいみたいなのに…」


話を変えるように言う俺。




「いいのよ。沙和が同棲したい相手がいるってことは、よっぽどだと思ったし…一目会っておいた方がいいと思ってね」

「はぁ…」

――『でもお姉ちゃん…すぐに帰っちゃうんでしょ?』

「うん。お昼の便には乗るよ!」


「バタバタですね」
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