HERO
その前に、私は何でときめいてんだ。


わんこのくせに。



騙されちゃいけない、わんこだって他の奴らと同じ、男だ。


どうせ最後は結局、裏切るんだ。



心も、身体も。


全部、ズタズタにされるんだ。



なんだか馬鹿らしくなってきて、もたれてるとーまを突き飛ばして、何か言ってるわんこを無視して、部屋に戻った。




ここにいると、忘れてしまいそうになる。


忘れちゃいけない、自分の過去。



忘れたいけど、忘れたときにまた傷つくのは自分。



『俺に犯されるお前は、俺より汚れてるな』



忘れたい、でも、忘れちゃいけない、あいつのこと。
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