HERO
「大切にしたい人ができたら、お金のためとか、誰でもいいからとか、そういう気持ちでセックスしないでしょ?好きだからする、そうなるでしょ?」



何言っちゃってんだ、そう思った。


でも、初めて差し伸べられた救いの手が、嬉しいとも思った。



誰も助けてくれなかった、その私を、わんこは必死に助けようとしてくれてる。


わんこの考えは安易かもしれない、馬鹿みたいかもしれない。



それでも。


私は単純にそれが、嬉しかった。



「俺のこと、好きになる?」


「...考えとく」



そう言うと、わんこはにっこり笑った。


考えとく、なんて、ただの照れ隠し。
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