requiem

-大好きだったあなた-

今日はあなたの命日
あなたが好きだったお酒を持って
お墓参りに出かけた


あなたと歩いた山道を
一人で歩く私

桜の花は
まだ咲いてはいなかった

四月だというのに・・・

桜の木が
途中で切られ
昔とは違う姿に変わっていた

その姿が
無性に悲しくて

そして
私の隣には
あなたがいないことが
切なくて

声を出して泣いてしまった

ねぇ
どうして
あなたが
ここにいないの?

そのときフッと
あなたの気配を
確かに感じた

僕は
ここにいるよ…と

変わらぬあなたの
その優しい気配

私はさらに
声をあげて泣いた

『わかったよ、わかったから…』
そう言って泣き続けた

話したいことが
もっとあった

謝りたいことが
たくさんあった

そして

できるならもっと
長く一緒にいて欲しかった

大好きだった
あなた

いなくなって
気づくなんて
なんて愚かな私
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