微かな明り
照らし出すもの
帰りがけ、
綺麗に整頓された机を見ると、その席の人はいなくて、

ホワイトボードの【城山課長】の欄には、
〝直行直帰〟
朝見た時と変わらない。


今日は、会えなかった。

それだけで、ガッカリ。



そのまま帰る気がしなくて、休憩室に寄った。


「はぁー…」

思わず、重ため息と共に休憩室のドアを開けると、
薄暗い休憩室に一人先客がいて、驚いた。

長身の男性が窓際に寄りかかり、缶コーヒーを手に外の夜景に視線を落としていた。

わずかな明りに照らされた、その綺麗な横顔に魅入ってしまう。


会いたいと願ったその人が、

すぐそこにいた。



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