パブロフの唇
「あー……、と」


果たして、彼が呟く。


「食う?」


眼前に差し出されるのは、焦がれたモノ。
反射的に頷けば、彼は掠れた声で言った。


「付属品も食ってくれるなら、だけど」


付属品とは、と彼に顔を向けると、挑発的に笑われた。


「いつもいつもそそる顔向けやがって。意識すんなってのが無理。俺込み、な」
「あ……」
「どうする? 了承するなら、ほら」


唇に、右手が寄せられた。
突起がこつんと触れて、血液が逆流する。


「舐めろよ」


抗える訳がない。
震える舌を、差し出す。

恍惚の唇から、蜜がとろりと零れた。





   了
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