瑠璃の風
――幸せだけど、悲しい。
走り続ければ、ルリのいっていたことがわかるかな。
――僕、名前、わかんないや。だって僕、いろんな名前で呼ばれてるから。
――じゃあ、自分で決めればいいじゃない。自分で、自分の名前を見つけるの。
――わたしも自分で決めたもの。
僕の名前は見つかるかな。
僕は走り続けた。
あの、海に臨む町はもうずっと遠く。
海の表情が変わった。
風の声が変わった。
僕も変わった。
名前が見つかったら、あの町に戻ろう。
そして、みんなに教えてあげよう。
僕の名前を――…。
了
