いきなり王子様
淡々とした恋愛を幾つか終わらせて、それでもその事に寂しさも何も感じずにいた俺には、唯一大切に思う女がいた。
女というよりは女の子、だな。
姉貴の娘の璃乃は、生まれた時から俺を魅了してやまない女。
身内びいきというものを差し引いても可愛いその容姿は、将来の小悪魔ぶりが予想できて頭が痛いけれど、姪という存在がここまで愛しいものだと気付いて、新たな自分を発見した。
璃乃は、扁桃腺の奥にあるアデノイドと呼ばれる器官が大きくて、病院に通い続けていた。
小学校を卒業するころには小さくなるらしいその器官だけど、あまりに大きくなると生活にも支障が出てくるため、いつかは手術で切除だと言われていた。
そんな璃乃の事を一番に考える姉貴は、いつも自分がちゃんと生んであげられなかったから璃乃が苦しんでいると思い込んでは自分を責め続けていた。
けれど、その事が璃乃の幼い心を傷つけている事に、最初は俺も気付かなかった。
璃乃の弟の璃久が生まれ、忙しくなった姉貴や義兄さんに代わったり付き添ったり、俺も時間を見つけては、通院を続ける璃乃に寄り添った。
ちゃんと診察を終えたらご褒美にクレープを食べようと言って励ましながら、まるでおけいこ事のようなペースで通院する璃乃が可愛くもありかわいそうでもあった。