いきなり王子様
「恋愛対象として好きかどうか、それが問題。だって、気になるし」
竜也の瞳の揺れが気になったけれど、それ以上に気になった事を口にしていた。
またもや私は直球で、おまけに拗ねてる気持ちも隠す事なく見せて竜也を睨んで。
「で?」
「うーん。何を根拠にって、思うけど。まあ、奈々がそんな気持ちになるほど俺を気にしてくれるのもいい気分だし。……その答えはもう少し焦らしてもいいか?」
「じ、焦らす?って、意味わかんない」
「ん。好きな女が、俺の事で右往左往するのがこんなに気分いいもんだって知らなかったから、もう少し満喫しようかと」
竜也は肩をすくめ、くくっと笑う。
その手は私の頬をゆっくりと撫でながら、私の言葉に嬉しさを感じているのを露わに見せて。
「この二日間、奈々を振り回して、それは俺にとっては極上の時間だった。
これからそれがずっと続くように、奈々を大切にするから、それでいいんじゃねえの?
俺、かなり奈々を好きだって自信あるし」
「……」
じーっと見つめられて、その熱に焦がされそうな空気を纏いながら照れて、私は言葉を失った。
これまで見てきた竜也の顔やイメージがことごとく覆されていく。
どちらかと言えば淡々と。
表情や感情乏しく起伏もなく。
仕事には手を抜かず、ストイックに生きている。
もちろん女の子からの人気はあるだろうけれどそれすら軽く流して。
……なんて事を勝手にイメージしていたけれど。
「病院で璃乃と笑いあう奈々を見てからずっと。想い焦がれてたって言っても言い過ぎじゃないほど、奈々が欲しかった。それだけじゃ、納得できない?」
どこまでも私を甘い言葉で陥落させようとする竜也に、私はKO寸前。
「……納得、したいけど、できないに決まってる」
そう。
結局、美散さんって竜也とどういう関係なんだろう?
竜也からのとろけそうな言葉でうやむやにされそうだけど、結局私は美散さんの事を、思っていた以上に気にしていたようで。
「とっとと吐きなさい」
気持ちをきゅっと引き締めて、意識してきつい声で呟いた。