遺伝子2
――なんなんだよ……お前は誰なんだ!!
左右に首を振りながら、思い切り叫んだ。
「…じょうぶ…?か…き?…か…ずき?」
「うわっ!!」
「キャア!!」
ゆっくり瞳を開けた先には、俺の良く知っている女性が居た。
「お母さん…」
「大丈夫?随分うなされていた様だけど」
ゆ、夢?……夢だったのか?
ゆっくりと体を起こすと、ポリポリと頭をかいた。
そうか、疲れて寝ちゃっていたんだ。
額にはうっすら汗をかいていた。
「うん…」
「可哀想に、怖い夢を見ていたのね。さぁ、ご飯よ」
そういうと、バシッと軽く背中を叩き部屋から出て行った。
お母さんが出て行くのを見送ると、ゆっくりと体を確認してみる。
いつもと変わらない俺の体。
立ち上がり動かしてみても、動かない箇所等無く、いつも通り正常に機能する体に安心した。
なんだ、ただの悪夢だったんだ。
安心した俺はホッと肩をなでおろした。
何だか急にお腹がすいたな。
お母さんがご飯だと言っていたのを思い出して、俺は急いで居間に向った。
俺が出た後の部屋。
枕元に落ちていた短い髪の毛は、ゆっくりと舞い上がり宙を揺らめくと、クルクル回りながら吸い込まれる様にしてごみ箱に入って行く。
まるで、俺を嘲笑うかの様に……
また、これから起こる事を予測しているかの様に、愉しげに舞っていた事を俺は知らなかった。