笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『先生、そこは普通
止めるだろ?』

わたしのかわりに
凌が言った

『一緒に居ろって
言ったり、止めろって
言ったり
わけわかんねぇよ』

思わず
吹き出してしまった

『夏海、今日は先生と
一緒にいなよ。
これから、そんな
チャンスめったに
ないんだから…』

みどりが言った

そうだ

これからどんな
寂しい日々が
待ち受けているのか
想像もつかない

今じゃなきゃ
話せない事も
あるかもしれない

『先生。
泊まってもいい?』

『今日は悪い子だな。
夏海も俺も。牧野も
相沢も共犯だぞ』

先生は即答だった

みどりと凌は
笑っていた

わたしはママに
嘘をついた

ごめんね、ママ

でも…

今しかない時間を
大切に過ごしたいの

『じゃ、俺たち
お邪魔虫は
帰る事にするか』

そう言って
凌が立ち上がった

『先生、夏海の事
よろしくぅ』

みどりも立ち上がった

『もう遅いから
送ってくよ』

先生も立ち上がった

『いいよ、夏海の
傍に居てやれよ』

先生は、凌の言葉を
無視して

『夏海、待っててな』

と鍵を持って
玄関に歩き出した

玄関で先生と
みどりと凌を見送った
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