笑顔の向こう側 ~先生とわたしの軌跡~
『家まで送るよ』

『うん』

最後のわがままのつもり

もうこんな時間は
二度と来ない

だから、今だけ

わがままに先生の
言葉を受け入れた

コンビニからたった3分

それだけの時間も
貴重な時間に思えた

『今持ってきて』

家の前で先生は言った

わたしは車から降りて
家に入った

そして、渡すつもりの
なかった包みを持って
先生の車の脇に立った

先生はまたわたしが
助手席に乗ると思った?

そんな事したら
降りるのが辛くなる

『乗らないの?』

助手席の窓を開けて
先生が言う

『早く帰って
テスト作らなきゃ
いけないでしょ!
はい!』

わたしは包みを
強引に渡した

『ありがとう』

先生は笑顔で言った

『テスト頑張れよ!』

そう言って
先生は帰った
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