初恋-はつこい-
すると少しの間の後、

「そ、そんな事……。

 綺麗、だよ」

と小さく呟いた。


“綺麗だよ”


まさか圭輔から

そんな言葉を聞けるとは

思っていなかったので、

真由の心臓は

バクバクと音を立てた。


圭輔にこの音が

聞こえてしまうのでは

と思う程だ。


リビングの方から母親が、

「私たちはいいから、

 二人で行ってきてね」

と弾むような声を掛けた。


父親の声は全く聞こえてこない。


どうやら圭輔が来たことで

機嫌を損ねてしまったようだ。


そんな父親の事を気にしながらも、

真由は慣れない草履を履き

家を後にした。



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