初恋-はつこい-
「そういえばさ」


花帆が真由の横顔を見ながら

呼び掛ける。


「何、花帆」


真由は

チョコの方を向いたまま

返事をする。


「真由は、

 チョコ渡す時、

 香坂君に直接告白するの?」


花帆の言葉に

身体がびくんと反応する。


圭輔の前で直接想いを伝えるか、

それとも

想いを込めた手紙を添えるか、

真由は全く考えていなかった。


「え、えっと……」


液状のチョコを

ヘラでかき混ぜながら考える。


「直接言って

 香坂君の反応見るの、

 やっぱり……怖い」


真由は小さく呟く。


「じゃ、

 想いをたっぷり込めた手紙、

 添えな」


花帆の言葉に

真由はこくんと頷いた。



< 454 / 485 >

この作品をシェア

pagetop