Sweet Life
「菜摘、元気でね。樹さんに我が儘言って困らせないのよ」
お母さん、私は樹を困らせてません。
困らせるのは樹です。
「樹さん、菜摘をお願いしますね」
「はい」
「樹君、頼むな」
「はい。ちゃんと大学受からせますから」
「あぁ。びしびしやってくれ」
お父さん、そんなことを言わないで下さい。
今でもびしびしやられてます。
館内アナウンスが
「じゃあもう行きなさい」
「はい。じゃあ」
最後にお母さんに抱きついて
「お母さん」
「あらあら菜摘ったら」
背中を撫でて
「おかしいわよ。貴女は奥さんなのよ」
「でもお母さんの子どもだもん」
「フフフ」
そっと抱きしめて
「元気でね」
「うん」
樹に私を押しやり
「さ、行きなさい」
「……」
「菜摘、行くぞ」
「うん」