114歳の美女
 智也が黙々とご飯を食べている。次に、無造作に出し巻きを口へ放り込んだ。


「えええっ!」


 智也の死んでいた目が、いきなり輝きを放った。


 「これなに!腹が立つほど、おいしい」


 ときも出し巻きを口に放り込む。


 「やべえ。怒りが吹き飛ぶほど、うめえ」

 「こんなおいしい食事を食べられるご亭主は羨ましい。果報者のご亭主とは、どこで知り合われたのですか」


 智也が信じられない位饒舌になった。

 しのぶは辛い辛い地獄から、漸く這い上がれる逃れ道を見つけた。


 「智也さん、良かったら火~金は、私が朝食をお作りしましょうか」

 「ぜひぜひ、お願いします」


 智也が昨日の事も忘れ、調子良く言った。


 「しのぶはん、どうして火曜日~金曜日だけどすか」


 ときがしのぶに尋ねた。






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