114歳の美女
 しのぶとの交代の日。


 吉のはしのぶと会うと、洛洛興信所から送られて来た郵便物をしのぶに見せた。

 しのぶは報告書と写真を見て、あっと驚いた。


 (お義母さんの次の手とは、これか。それにしても、男とは浮気な動物。たった、あれしきの事で、この始末とは。情けない。ときさんが可愛そう)

 写真を見ながら、しのぶはときの事を哀れんでいた。



 「お義母さん、これからどうされるつもりですか」


 「これを、ときに見せるまでや。あの子は、プライドの高い子やから、浮気を知ったら、あの男を見限るやろ。所詮、結婚とは、硝子のように脆いもん。一度、ヒビが入ったら、壊れるもんどす」


 吉のが報告書と写真を元の封筒に戻した。


 「ときさんが可愛そう」


 しのぶが沈んだ表情で。


 「可愛そうやけど、これも定めどす。すぐに、乗り越えるやろ」


 吉のは動じる気配が無い。


 「なら、いいんですけど」


 しのぶは吉のと交代を終えて、しょんぼりと帰って行った。





 
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